ハンドメイド販売を始めてみたいけれど、何から手を付ければいいのか分からない…そんな方へ。この記事では、ハンドメイド販売の全体像を初心者向けに分かりやすく解説します。「作る」だけでなく「売る」ために必要な流れ、押さえておくべき心構え、基本ステップ、そして始める前に知っておきたい注意点まで網羅。詳細なノウハウは別記事で深掘りしていきますが、まずはこの記事で販売の全体感をしっかり掴みましょう。
ハンドメイド販売の全体像をつかもう
ハンドメイド販売の流れ
ハンドメイド販売は「作品を作って出品すれば終わり」という単純なものではありません。多くの初心者が見落としがちなのは、販売の成功には作品制作以外にも多くの工程があるという点です。
おおまかな流れは以下のとおりです。
- コンセプトを決める(ブランドやターゲットの方向性)
- 商品を企画・試作する
- 販売サイト・プラットフォームを選ぶ
- 撮影や商品ページの準備をする
- 出品して販売開始
- 売上データを分析し、改善を繰り返す
この流れを頭に入れておけば、準備不足や行き当たりばったりで失敗する可能性を大幅に減らせます。
初心者が最初に理解しておくべきポイント
ハンドメイド販売を始めるにあたり、最初に押さえておきたいのは次の3つです。
1. 「作る力」と「売る力」は別物
作品作りの技術があっても、それだけで売れるわけではありません。写真撮影、文章作成、価格設定、マーケティング…これらは別のスキルです。
特に売れないと嘆くハンドメイド作家の方は「マーケティング」の勉強ができていないことが大半です。マーケティングは「直観」や「運」に頼らず確実に売り上げを伸ばすためのもの。正しく勉強することで確実に売り上げを伸ばすことができると断言します。
2. オンライン販売は「見せ方」が命
実店舗と違い、ネット販売では購入者が商品を手に取ることはできません。写真・説明文・レビューが購入判断のほぼ全てを占めます。せっかくいい商品を作っているのに、見せ方が悪いことで売れない商品を多く見かけます。
また、ハンドメイド界隈には感覚的なアドバイスやノウハウばかりが共有されており、初心者を混乱させてしまう原因となっています。他の作家のアドバイスだけを信じるのではなく、正しい知識を身に着けることが重要です。
3. すぐに収益化できるわけではない
ハンドメイドに限らず、EC(ネットショップ)で一定の売上を獲得するためには時間がかかります。目標額にもよりますが、最低でも6か月~1年は時間がかかると考えましょう。
これらを理解して始めることで、初期段階での挫折を防ぎ、計画的に進められます。
一番重要な心構え「お金を稼ぎたいのか」「楽しみたいのか」
売れないハンドメイド作家の方によくありがちな勘違いが「自分の作りたいものを楽しく作りながら、お金も稼げるようになる」という幻想。大半の方がこの幻想にとらわれることで万年売れない作家となっています。
もちろん、「作りたいものを作って自己表現する」というアーティスト的な作家活動で収益を得ている方も多くいらっしゃいます。やりたいことだけをやってお金になるのは素晴らしいことですが、それは路上ライブから人気になって武道館に行きたいと言うようなもの。1000人が挑戦して1人が運よく成功するかどうかというところだと思います。
売れるためには「作りたいものではなく、売れるものを作る」という覚悟が必要です。正しくマーケティングの知識を使えば、1000人いたら1000人が成功する道筋を示すことができます。
本気でやるなら仕事をやめるべき?
「ハンドメイド販売で生計を立てたい」と考える人は多いですが、スタート直後に本業を辞めるのはおすすめできません。
理由は以下の通りです。
- 売上は季節変動が大きい:クリスマスや母の日は売上が伸びますが、オフシーズンは落ち込みます。
- 材料費や送料の変動:仕入れ価格や運賃の高騰で利益が圧迫される可能性があります。
- 安定収入まで時間がかかる:月商10万円以上を安定させるには、多くの場合1年以上かかります。
本業からの収入を確保しながら副業として販売をスタートし、売上・利益が安定してから独立へ移行する流れが、リスクを最小限に抑えられます。
ハンドメイド販売の基本ステップ(6ステップ)
① コンセプトを決める(ブランド・ターゲット設定)
コンセプトはお店の「顔」です。例:「北欧風シンプル雑貨」「ヴィンテージ調アクセサリー」「お子様向け安全素材のおもちゃ」など。ターゲット(年齢、性別、生活スタイル)を具体的に設定すると、デザイン・価格・販促すべての方向性が決まります。
今後の方向性や売上の上限を決める最も重要な要素であるため、数日かけてでもこの部分をこだわって検討する必要があります。
売れない作家さんに多いのが、「自分が作れるもの、自分が作りたいもの」で店舗コンセプトを決めてしまう例。たまたま買いたい人が多いジャンルで競合作家がいなければ売上が伸びますが、このパターンでコンセプトを決めると失敗する確率が高いです。
② 商品を企画・試作する
コンセプトに沿って商品アイデアを出し、材料や制作時間を計算します。試作は同じものを数回作り、耐久性や使いやすさを確認します。また、原価率(材料費+制作時間の工賃)を把握しておくことも重要です。
この際、売れない作家がやってしまいがちなミスが「原価を考えずに作品作りを開始してしまう」というパターン。販売価格が市場に見合わないものとなってしまい「高すぎて売れない商品」を量産してしまいます。
③ 販売サイト・プラットフォームを決める
主要な選択肢は以下です。
- minne:最大手、初心者向け、集客力が高い
- Creema:高品質・アート系に強い
- BASE/STORES:自分のショップ運営、ブランド感を出せる
- メルカリShops:既存メルカリ利用者をターゲットにできる
初めから自分のホームページを作ってしまう方もいますが、序盤は売り場作りや見栄えに時間をかけるべきではありません。上記のような優秀な販売プラットフォームを活用し、できる限り手をかけずに販売にこぎつけることが正解です。(他にやるべきことがたくさんあるため)
④ 撮影・商品ページ作成
実際に商品を手に取れないネット販売では「写真や動画」と「説明」だけがお客様に商品の魅力を伝える手段です。
近年はスマホの性能が上がっているため、一眼レフカメラなどを準備する必要はありません。自然光と背景にこだわるなど、ちょっとした工夫だけでも印象が大きく変わります。
また、説明文は「誰に」「どんな時に」「どんな価値があるのか」を具体的に書くと効果的です。本サイトでは魅力的な商品ページを作るために基本テクニックも勉強していきます。
⑤ 出品・販売開始
販売初期はレビュー獲得や、商品スコアが重要です。可能であれば友人やSNSフォロワーに試し購入をお願いし、魅力的なレビューを書いてもらうのも有効です。
また、販売サイトによっては売れる商品は、お客さんが多く集まる特集ページなどに無料掲載してくれることも多いです。売れる商品はさらに売れ、売れない商品はより売れなくなるというのが現実です。正しく勉強し、売るための方法を身に着ければ商品ラインナップを増やせば増やすほど売り上げが右肩上がりに伸びていくようになります。
⑥ 売上分析と改善
ハンドメイド作家さんの多くが実施できていないのが日々の売上分析と改善業務。感覚だけで運用している方が大半のため、一度たまたま売れる時期が訪れても、すぐに失速してしまいます。
特に、アクセス数・購入率・客単価などの基本的なデータは、常に確認しておくべきといえます。
始める前に知っておきたい注意点
材料・道具にかかる初期費用
布やビーズなどの材料、ミシンや工具、撮影用ライトや背景布など、初期投資は思った以上にかかります。初期費用を抑えるためには、まずは最低限の道具で始め、売上に応じて買い足すのがおすすめです。
また、現在持っている材料や道具の中で「売れるものを作れないか?」と考えることも重要です。
販売に関するルール(商標・著作権・食品衛生など)
販売を始める以上、最低限の法令なども勉強する必要があります。
多くの作家に関連するのは、キャラクターやブランドロゴなど。無断使用すると著作権・商標権の侵害になり、最悪のケースでは損害賠償に発展する可能性もあります。
また、食品や化粧品を販売する場合は、食品衛生法や薬機法の許可・表示ルールが必要です。その他、電球などを電気を使った作品では電安法、SALEを実施する際には景表法など様々な法令を守る必要があります。
「知らなかった」では許されないため、絶対に抑えておくべき重要なポイントはこのサイトでも解説していきます。